2008/5/5 月曜日

新聞記事から見る申告漏れ事件2

Filed under: 藤澤公貴ブログ — hayashi @ 22:55:44

米国の投資ファンド運用会社「プロスペクト・アセット・マネジメント」の日本の関連会社が海外の投資家に対し、日本の不動産投資信託(Jリート)をめぐる利益の分配金約17億円への課税を逃れさせたとして、東京国税局に約3億4000万円の源泉徴収漏れを指摘されたことが分かった。この投資家は分配金の受け皿を、租税条約で日本の課税権の及ばないイギリスの法人に移し替えており、こうした行為が「条約の乱用に当たる」とみなされた模様だ。

 国境をまたいだ脱税を防止するため、日本は56カ国と租税条約を結んでいるが、同様のケースでの分配金への課税について明文規定がない国は52カ国ある。こうした「抜け穴」を利用した税逃れの手法は「国際的租税回避スキーム」とも呼ばれ、世界中から資金を集める投資ファンドの多くが取り入れており、対策が求められている。

 この会社は「プロスペクト・ファンディング・コープ」(PFC、東京都千代田区)。追徴税額は不納付加算税を含め約3億6000万円とみられ、PFCは自主納付しているという。

 関係者によると、PFCは、東京や大阪、名古屋の賃貸マンションなどに投資するため、タックスヘイブン(租税回避地)のカリブ海・バハマの投資法人など海外の投資家から資金を調達。系列の「特別目的会社」(SPC)を通じて、マンションなどの賃料収入を受け取る権利「信託受益権」を取得した。

 信託受益権は05年夏、系列のJリートに売却された。PFCは投資家や系列SPCとの間で匿名組合契約を結んでおり、売却益は同年後半以降、PFCから海外の投資家にも分配されたという。

 この際、バハマの法人は、新たにイギリスに法人を設立し、分配金を受け取る地位を譲渡した。当時の日英租税条約では、匿名組合契約の分配金に関する課税規定が無く、日本の課税権が及ばなかった。英法人へは06年6月、約17億円が源泉徴収されないまま、PFCから分配されたという。

 ところが、同国税局が税務調査したところ、地位譲渡の契約日と英法人の設立日が同じだったことなどが判明。このため英法人は同条約を利用するために設立されたもので、譲渡は条約の乱用に当たると認定。源泉所得税分について源泉徴収漏れを指摘した模様だ。

 同条約はその後改定され、匿名組合の分配金についても今年1月からは日本で源泉徴収されることになった。

 プロスペクトは米ハワイに本拠を置く日本専門の投資会社。不動産を中心に約2000億円を国内の資産に投資しているとされる。これまでにJリートを大量に買い占め、経営者らに経営改善を求めたことなどから話題を呼んだ。

 同社は「この件の担当者が既に退社しており、コメントすることができない」としている。PFCは利益分配後の06年6月末に解散している。

2007年12月03日 アサヒコム

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