2008/5/29 木曜日

会社法 会社設立(株式会社編)8

Filed under: 新着情報, 藤澤公貴ブログ — hayashi @ 22:10:17

<定款作成3 設立に際して出資される財産の価額とは>

 前回に引き続き定款の内容について説明していきます。絶対的記載事項の中の「設立に際して出資される財産の価額」についてご説明したいと思います。
 設立に際して出資される財産の価額とは、会社の資本金のことを言います。「旧商法」においては、『会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数』が『定款の”絶対的”記載・記録事項』のひとつとされていました。しかし、平成13年の改正により『額面株式制度』が”廃止”されて『無額面株式』のみが発行可能となり、『資本』と『株式』との関連性が”断絶”されたことから、『出資』とは直接関係のない『株式数』よりも、【出資される財産の価額】が、定款で定めるべき事項とされ、これが「会社法」にも受け継がれています。さらに、【財産の”価額”】そのものではなく【財産の”最低額”】を定めることでも足りるとされました。
 ところで、旧商法では株式会社は1000万円以上、有限会社は300万円以上の資本金が必要でしたが、新会社法では、最低資本金制度が撤廃されて、原則資本金1円から設立することが可能です。ただし、資本金が1円では事業はできませんので、これから行おうとする事業に応じた資金は用意する必要があります。

<資本金額の決め方について>

では一体、資本金の額をいくらにすればよいのでしょうか?どのような事業を行うかによっても全く異なるので、明確な基準がある訳ではないのですが、決め方の目安として以下のものがあります。

1)対外的信用から資本金額を決める
 資本金は、登記簿謄本に記載されるため、資本金が多ければ多いほど、会社の対外的な信用は高くなります。とは言え、出資金額に限界があると思います。そこで、上記でお話したとおり旧商法では、株式会社1000万円、有限会社300万円とされていましたので、この金額を1つの基準にするとよいかと思われます。有限会社が300万以上だということを考えれば、最低300万は出資したほうがよいかもしれません。ただし、取引先から「資本金が1000万以上じゃないと取引しない」「株式会社は1000万以上じゃないと認めないという習慣がある(ありそうだ)」という場合もありますので、大口の取引先(候補)に確認してみることも必要かもしれません。

2)設立後6ヶ月-1年間くらいに見込まれる運転資金(経費+返済)の総額
 設立後すぐに事業が軌道に乗るとは限りませんから、最初売上がなくても困らないくらいの資金を資本金として確保しておきます。具体的には月々の固定経費と借入金等の返済などを計算して決定することになります。また、飲食店を経営する場合の店舗オープンにかかる初期投資費用や、仕入販売する場合の仕入代金等も考慮する必要があります。

3)許認可で必要とされる資本金
 一般労働者派遣事業が代表例ですが、設立してすぐにこの許可を取得する際には、資産の裏付けとして資本金が1000万円以上あることが条件とされています。したがって、設立後すぐにこの事業を行う場合には資本金1000万円以上を用意しなければなりません。また、建設業であれば原則として、500万円以上の資本金が必要です。このように、おこなう事業によって資本金の額が要件となっている事業がありますので、これに基づいて資本金額を決定してください。

4)中小企業庁による中小企業施策
 中小企業基本法では、以下に示すように業種ごとに資本金や従業員数で中小企業者を定義し、中小企業庁から必要な政策を実施することになっております。中小企業基本法第2条に定義する中小企業に該当すれば、政府系金融機関の融資や信用保証協会による保証など様々な中小企業振興の施策の適用を受けることが出来ます。

中小企業基本法第2条に定める中小企業者の定義

中小企業者の範囲及び用語の定義)
第2条 この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が次条の基本理念の実現を図るため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。
1.資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第4号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
2.資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
3.資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
4.資本金の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの

5)下請代金支払遅延防止法
 下請代金支払遅延防止法とは、下請代金業者の取引を公正なものとし、また下請事業者の利益保護するための法律です。親事業者には11項目の禁止事項が課せられています。親事業者と下請事業者を業種及び資本金の観点から定義しています。詳しくは公正取引委員会のホームページを御覧下さい。以下は法令による資本金基成の部分のみ抜粋引用しました。

下請代金支払遅延等防止法

第2条
7この法律で「親事業者」とは,次の各号のいずれかに該当する者をいう。

一資本金の額又は出資の総額が3億円を超える法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和24年法律第256号)第14条に規定する者を除く。)であつて,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が3億円以下の法人たる事業者に対し製造委託等(情報成果物作成委託及び役務提供委託にあつては,それぞれ政令で定める情報成果物及び役務に係るものに限る。次号並びに次項第1号及び第2号において同じ。)をするもの

二資本金の額又は出資の総額が1000万円を超え3億円以下の法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第14条に規定する者を除く。)であつて,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が1000万円以下の法人たる事業者に対し製造委託等をするもの

三資本金の額又は出資の総額が5000万円を超える法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第14条に規定する者を除く。)であつて,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が5000万円以下の法人たる事業者に対し情報成果物作成委託又は役務提供委託(それぞれ第1号の政令で定める情報成果物又は役務に係るものを除く。次号並びに次項第3号及び第4号において同じ。)をするもの

四資本金の額又は出資の総額が1000万円を超え5000万円以下の法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第14条に規定する者を除く。)であつて,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が1000万円以下の法人たる事業者に対し情報成果物作成委託又は役務提供委託をするもの

8この法律で「下請事業者」とは,次の各号のいずれかに該当する者をいう。

一個人又は資本金の額若しくは出資の総額が3億円以下の法人たる事業者であつて,前項第1号に規定する親事業者から製造委託等を受けるもの

二個人又は資本金の額若しくは出資の総額が1000万円以下の法人たる事業者であつて,前項第2号に規定する親事業者から製造委託等を受けるもの

三個人又は資本金の額若しくは出資の総額が5000万円以下の法人たる事業者であつて,前項第3号に規定する親事業者から情報成果物作成委託又は役務提供委託を受けるもの

四個人又は資本金の額若しくは出資の総額が1000万円以下の法人たる事業者であつて,前項第4号に規定する親事業者から情報成果物作成委託又は役務提供委託を受けるもの

6)税制面での資本金額
 税制面でも資本金額により取り扱いが異なっております。大きな特徴としては、1億円以下の中小法人は税務署管轄の納税者となり、資本金1億円超は国税局管轄の大法人となります。
 消費税については、基準期間における課税売上高が1000万円以下の事業者は消費税の納税義務が免除されます。基準期間とは、前々事業年度のことをいいます。本来、法人の設立事業年度とその翌事業年度は基準期間の課税売上高がないので、原則として免税事業者になります。しかし、資本金1千万円以上の場合、新設法人でも消費税の課税が初年度から行なわれる特例があります。
 法人税については、交際費の損金不算入の計算、寄付金の損金不算入限度額計算、中小法人に対する法人税の軽減税率の適用や各種税額控除などの取り扱いが資本金によって異なってきます。
 また、赤字法人でも絶対に支払わなくてはならない法人住民税の均等割は資本金が課税標準となっております。詳しくは横浜市のホームページと神奈川県のホームページを御覧下さい。
 
 

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